決算までに検討しておきたい人件費の税額控除

 所得拡大促進税制

所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している法人又は個人事業主が、下記①~③の全ての要件を満たし た場合に、雇用者給与等支給増加額の10%を、税額の10%(中小企業者等は20%)を上限として法人税額又は所得税額から控除できる制度です。
①雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
②雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
③平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

制度の特色と決算対策

類似の税制では雇用促進税制がございますが、こちらとは違い事前の申請等は不要です。決算の際に要件を満たしていれば、申告書に記載することで適用を受けることができます。

月次試算表を作成するなど決算前に年間人件費を把握できる場合、おおよその見込み額が計算できるかと思われます。決算賞与や特別手当などを利用して適用を受けられるようにすることも決算対策の1つとして考えてもよろしいかと思います。

また設立初年度の場合、税額控除を受けやすくなるよう計算方法に特例が設けられております。
昨年11月のコラム『設立初年度から黒字になった場合の節税方法』も併せてご覧ください。
なお赤字の場合、翌期への繰越税額控除を受けることはできませんのでご注意ください。

人件費をめぐる諸法令の動向

所得拡大促進税制については、平成29年の税制改正大綱により、控除枠が今後更に拡がることが見込まれております。
一方、雇用促進税制については対象地域が東京、大阪等の大都市を除く地域に適用が限定されることとなりました。ただし、所得拡大促進税制との重複適用については認められるようになりました。

また税制とは異なりますが、キャリアアップ助成金が平成28年2月改正により拡充されております。配偶者控除の見直しなど、国の方針に基づき雇用を後押しする様々な政策が今後も出ることが見込まれますので、今後の動向を注視したいものです。

 

このコラムは、平成28年12月31日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。また、専門的な内容を判りやすくするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。