居住用不動産の譲渡所得

 今回は居住用不動産の譲渡所得について解説します。
今住んでいる戸建住宅やマンションを売却した場合、税金はどのように算出されるでしょう。

譲渡所得は次のように算出されます。

譲渡所得=譲渡対価―(取得費+譲渡経費)
※総合課税の場合は50万円の特別控除あり

 

 さて、居住用資産による譲渡所得を他の所得と同様に課税してもよいものでしょうか。
 居住用の資産を売却するということは、相当金銭的に困窮している又は転居しなければいけないなどのやむを得ない事情がある場合が通常です。
 このような理由から、居住用資産の売却損益については次のような特例が用意されています

譲渡利益が生じた場合

 譲渡利益が生じた場合には、譲渡所得から暦年で3,000万円の特別控除をすることが認められています。
 また、所有期間が10年超の居住用財産については上記の特別控除に加えて所得税10%(通常15%) 住民税4%(通常5%)の軽減税率が適用になります。所得税には復興特別所得税が2.1%加算されます。

 ただし、居住用財産を一部事業供用している場合には居住用部分のみの譲渡益に適用されるため注意が必要です。

 譲渡損失が生じた場合

 譲渡損失が生じた場合で一定の要件を満たすときには、給与所得等の他の所得がある場合には他の所得と損益通算をすることができ、損益通算しきれなかった部分は3年間繰越控除することができます。
 適用を受けるための要件は次の通りです。 

  【居住用資産を譲渡しただけの場合】
  ・譲渡年の1月1日現在で所有期間で5年超
  ・返済期間10年超の売却資産に係る借入金が残っていること
  ・上記借入金残高を下回る金額で売却していること 

  【譲渡後に居住用資産を買換えた場合】
  ・譲渡年の1月1日現在で所有期間で5年超
  ・返済期間10年超の買換資産に係る借入金を有していること
  ・買換資産の床面積が50㎡以上であること
  ・控除を受けようとする年の合計所得金額が3000万円以下であること

 特に譲渡損失が生じた場合の繰越控除の適用については、確定申告書を継続して提出する必要があり、譲渡利益の場合の所得控除や軽減税率と異なり、忘れられがちなので注意が必要なところとなります。
 もし、譲渡した年に他の所得がなくても翌年以降に他の所得が生ずることも十分考えられるため、確定申告書は必ず提出するようにしましょう。

 

このコラムは、平成26年1月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい

 

 

  

無料相談のご予約はこちら

0120-088-752

電話受付:平日10:00~17:00

土日・祝日・夜間対応OK(要予約)

メール24時間受付

ページトップへ
menu