江東区の会計事務所、渋谷広志税理士事務所です。
平成26年度改正により 簡易課税制度 の みなし仕入率が改正されました。
この改正により、簡易課税制度の適用を受けている金融業・保険業・不動産業に該当する法人の事業者は、原則として平成27年4月1日(個人事業者は平成28年1月1日)以後に開始する事業年度から消費税の納税額が増えることになります。
なお、平成25年4月1日(個人事業者は平成26年1月1日)から平成26年9月30日までの間に簡易課税制度選択届出書を提出した場合は、開始時期について経過措置が取られているのでご注意ください。
1.みなし仕入率とは
消費税額は、通常「課税売上高に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額」を差引いた金額を納付することになります。 しかし、「簡易課税制度選択届出書」を事前に提出し、かつ前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の場合は「課税売上高に係る消費税額から課税売上高にみなし仕入率を掛けた金額に係る消費税額」を差引いた金額を納付することが出来ます。つまり、簡易課税制度の計算上、課税仕入を考慮しないため、みなし仕入率が上がれば消費税の納税額が少なくなり、逆にみなし仕入率が下がれば消費税の納税額が増えることになります。
2.改正の内容
平成27年4月1日(個人事業者は平成28年1月1日)以後に開始する課税期間からみなし仕入率が改正されました。具体的には金融業及び保険業が、第四種事業から第五種事業(みなし仕入率が60%から50%)に改正され、不動産業が、第五種事業から新たに設けられた第六種事業(みなし仕入率が50%から40%)に改正されました。
みなし仕入率(改正前) みなし仕入率(改正後)
第一種事業(卸売業) 90% 第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80% 第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業等) 70% 第三種事業(製造業等) 70%
第四種事業(その他の事業) 60% 第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50% 第五種事業(サービス業等) 50%
(金融・保険業) 50%
第六種事業(不動産業) 40%
3.金融業及び保険業、不動産業は5%時代の約2倍に
今回の改正で、金融業及び保険業、不動産業のどちらもみなし仕入率が10%引き下げられました。これにより単純に納税額が10%上がるかというとそういう訳ではありません。例えば金融業の場合、消費税率を考慮せず課税売上高を100と考えて計算すると、今までは100から60(100×60%)を差引いた40だったものが、50(100-100×50%)になるので50÷40で1.25倍(25%増)になります。同様に計算すると不動産業の場合は1.2倍(20%増)になります。
平成26年4月1日から消費税の税率が5%から8%に増税されたので、ただでさえ8%÷5%で1.6倍になっていたところ、今回の改正で、金融業及び保険業の場合はさらに1.25倍されるため、5%時代に比べると納税額が2倍(1.6倍×1.25倍)になります。不動産業の場合も1.92倍になるため事前に納税額を試算しておかないと、申告時に予想以上の税額を納付することになるので注意が必要です。
当事務所では、あわてて納税資金を調達することの無いよう、ご契約頂いたお客様に対して事前に概算税額をお伝えするよう努めていますので、安心してご依頼ください。
このコラムは、平成27年8月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。