江東区の会計事務所、渋谷広志税理士事務所です。
今回は人件費に関する法人税の税額控除についてのお話です。
企業を後押しする制度
最近では景気の回復に伴い従業員を積極的に採用する企業が増えているようです。
また回復の軌道に乗りきれない企業においては、コストを下げるために外注費を削減して自社従業員の労働比率を増やす企業もあるようです。
法人税においては従業員を採用して積極的に給与を支給する企業を後押しするために次の2つの税額控除を設けています。
2つの税額控除とは
「雇用促進税制」
期末の雇用保険対象者数が期首の対象者数から2人(大企業は5人)以上増加した場合は、増加人数1人当たり40万円を法人税額から減額しようという制度です。(税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)
「所得拡大促進税制」
期中に支払った従業員への給与(役員給与など一定の給与は除かれます)が、基準となる事業年度の従業員への給与と比較して一定率以上増加している場合には、その増加額の10%の額の減額が受けられる制度です。(法人税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)
変動を意識することが大切
小規模零細企業においては、従業員の採用や給与のベースアップは社長の判断で決まるケースが多いです。会社の社長や経理担当者の方は従業員数や給与支給額の変動については認識があるかもしれません。しかし、税金の専門ではないためこのような税額控除があることをご存じの方は少ないのではないかと思います。一方、申告書を作成する税理士事務所側では従業員数や給与支給額の変動を意識しておらず、税額控除の適用を失念するケースもあるかと思います。
いずれの税額控除も適用に関しては他に要件を満たす必要があるため、ご存じの方でも自分の会社には適用はされないだろうと思われるかもしれません。もし従業員数や給与に増加があった場合には、担当されている税理士事務所に確認をされたほうがよいでしょう。
弊所では申告書の作成にあたって積極的に税額控除を活用しております。
税額控除に関する相談も受け付けておりますので、気になる方は是非一度ご連絡ください。
このコラムは、平成26年10月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。