建物附属設備と構築物の減価償却方法が定額法に変わります

先に発表された税制改正大綱に基づき、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備構築物について、償却方法定額法に一本化される予定です。これは、同時期から開始する法人税率の引下げによる税収減が急におこらないよう、課税所得の拡大を目的としているようです。
(法人税は基本的に課税所得×法人税率で求められるため、税率の引下げによる急な税収減を抑えるためには課税所得をある程度上げる必要があります。)

建物附属設備と構築物

建物附属設備と構築物に含まれるものは、下記の通りです。

建物付属設備:建物に付属して機能する設備のことを指します。
具体的には、電気設備、給排水設備、空調設備、ガス設備等が該当し、
          主に店舗・事務所等の内装工事等をした際に計上することが多いようです。

構築物:土地の上に建てられた建物以外のものを指します。
具体的には、舗装道路、塀、上下水道、焼却炉、花壇等が該当します。

そもそも、なぜ建物付属設備と構築物のみが定額法の対象になったのかということですが、上記2つの資産は建物と関係があり、建物と同様に計算する必要があると判断されたと考えられます。
現在、建物は定額法のみ認められています。建物附属設備は建物と一体になって機能すること、構築物は建物同様に長期的に使用されることから、建物と同様に定額法に一本化されることになったようです。また、投資拡大に悪影響が少ないと判断されたことも影響しているようです。

定率法と定額法の違い

定率法と定額法のどちらを選択しても最終的には償却額は同じになります。では、その違いは何かというと、償却をしていく過程にあります。定率法は、一定の償却率を乗じて償却費を計上する方法のため、購入初年度に償却費を多く計上でき、年々償却費の計上額が減少していきます。
対して、定額法は、償却年数にわたり、一定額を計上していくため毎年計上額は変わりません。

定額法に変わった場合の影響

建物付属設備や構築物を購入した際、個人事業主の場合は今までも基本的に定額法で計算していたので影響は少ないと思いますが、法人の場合は、基本的に定率法で計算していたので影響が大きくなります。
例えば耐用年数10年の建物附属設備を期首に1千万円で購入した場合、定率法だと初年度2百万円の償却費を計上できますが、定額法だと1百万円しか償却費を計上できません。この結果、初年度のみで考えれば差額1百万円分、法人の課税所得があがり、その分法人税を多く納めることになります。

今回の改正により、建物附属設備や構築物を購入した場合には、定額法で計算することを考慮して資金繰りや投資計画等にご注意頂ければと思います。

このコラムは、平成28年3月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。

  

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