印紙税の課税文書と注意点

印紙税法で定められた課税文書を作成した場合、印紙税を納付しなければなりません。

印紙税については法人税、所得税等とは違いあまり詳しく触れる機会もない方が多いと思われますが、納付漏れ(主に課税文書への印紙の貼付漏れ)とならないように気を付けましょう。

印紙税法で定められた課税文書

次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。

1. 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
2. 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
3. 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

20種類の文書それぞれに、異なる印紙税額が定められております。金額が少額の場合非課税文書(印紙を貼る必要のない文書)となることもありますが、主な課税文書および非課税金額は以下の通りとなります。

[不動産等の譲渡に関する契約書]・[請負に関する契約書] → 1万円未満は非課税

[売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書]→ 5万円未満は非課税(平成26年4月1日以後)
(いわゆる領収書等) 
[売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書]
(保険金の受取書等)

印紙税の注意点

・請負に関する契約書のうち、契約金額の記載のないものの印紙税額は200円となります。

課税文書に該当するかどうかは内容に基づいて判断します。書面の名称等により形式的に判断するのではなく、その文書に記載されている文言等の実質的な意味を汲み取って判断します。

金銭又は有価証券の受取書は、売上代金に係るものかどうかで税額が異なります。売上代金とは、何らかの給付に対する反対給付であることを指すため借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当しません。

印紙税の納付・納付忘れ・還付

印紙税の納付は原則として、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付ける方法となります。この場合、自己又はその代理人、使用人その他の従事者の印章又は署名で、その課税文書と印紙の彩文とにかけて、判明に印紙を消す必要があります。

また万一印紙を貼り忘れた場合には、その納付(貼付)しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(当初の印紙税額と合わせると3倍)の過怠税が徴収されることになります。ただし調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。

※所定の方法により消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。

なお契約書や領収証などの印紙税の課税文書に誤って過大に収入印紙を貼り付けてしまったような場合には、印紙税の過誤納金として還付の対象となる場合があります。印紙税法による還付を受ける場合には、「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入のうえ、納税地の税務署長に提出してください。

印紙税の問題点と今後

8月31日付で経済産業庁から発表された平成30年税制改正要望には、『印紙税は経済取引における契約書や領収書等に対して課せられる文書課税であるが、近年の電子取引の増大等を踏まえ、制度の根幹からあり方を検討し見直す。』とあります。

また『電子取引などに対して印紙税は課税されないなど、取引手段の選択によって課税の公平性が阻害されているとの指摘もある。特に、小売・物販業等においては、近年、カード決済が増大してきており、印紙税が取引実態の変化に対応できていないとの指摘も強い。』といったように、近年の実態に印紙税法の規定がおいついておらず、課税の公平性が担保できていないことが指摘されております。

印紙税法の改正要望は平成22年からなされており、その後ペーパーレス化が著しく進んだ現代にあってはいつ改正がされてもおかしくない状況にあると思われます。今後の改正内容を注視いただければと思います。

このコラムは、平成29年8月31日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。また、専門的な内容を判りやすくするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。

  

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