「リース契約に関する10月1日以降の消費税の取り扱いについて教えて下さい」
Q:消費税率のアップに伴って、業者が月々のリース料の引き上げについて打診がございました。そこで以下の契約内容で、税率アップ前の8%税率が適用されるのか、あるいは、10%税率が適用されるのかご教示ください。
【状況】
① 当社は単身赴任者のための社宅に備え付ける家電に関してリース契約を締結しています。
② 契約書には
・リース物件 月額リース額 円 リース料計 円
・リース期間 〇年〇月〇日~〇年〇月〇日 24か月
・支払い回数 24回
・契約金額 リース料〇〇円 消費税〇円 消費税込リース料〇〇円 ・・・・・総額の金額が契約金額として記載されます。
・支払い内容 初回〇〇円 二回目以降〇〇円23回払い
・支払い方法 振込
・支払い回数 24回
・初回支払日 〇年〇月〇日
・締め支払日 末日締切 翌月末日払い
・契約約款 【中途解約時】途中解約不可 リース料の残額を支払うことにより途中解約を認める。
【消費税の変更時】定め無し
A:
江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。
ご照会の件ですが、そのリース契約が
①ファイナンスリースか
②オペレーティングリース契約か
によって取り扱いが異なります。
①ファイナンスリース契約の場合
そのリース資産が納品されたときの税率が適用されます。
②オペレーティングリース契約の場合
10月1日以降も8%の税率が適用されるリース契約は、次の、「イ及びロ」又は「イ及びハ」に掲げる要件に該当するときとされております。
(ただし、2019年3月31日までに契約されたものに限ります)
イ 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
ロ 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
ハ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること。
1.事例に対する検討手順
次のような手順で考えると、適用される税率が判明するかと思います。
すなわち、
① 事例のリース契約がファイナンスリースかオペレーティングリースか確認する
② ファイナンスリース契約であれば、物件の引き渡し日(納品日)を確認する
③ オペレーティングリース契約であれば、先の8%税率が適用される要件を満たすか確認する。
2.ファイナンスリース契約かオペレーティングリース契約か
では、今回の事例のようにそのリース契約がどちらに該当するかわからない場合に、どのようにして、リース契約の種類を確認するかというと、結論はリース会社に聞くということになります。
ただ、このように書くと、税理士としての立場がないので、一応、根拠を示すと、次のような説明となります。
(学術的なので、読み飛ばして結構です(笑))
Ⅰ.消費税におけるリース契約の定義と取り扱い
消費税では、通達5-1-9でリース取引を法人税(所得税)法の取り扱いに準ずるとしています。
すなわち、
そこで、法人税法64条の2を参照すると、以下のように規定されており、その第3項でいわゆる「ノンキャンセラブル」と「フルペイアウト」の2つの要件を満たした場合にファイナンス・リース契約であるとされております。
ここでポイントなのは、「ノンキャンセラブル」であることは、契約書からわかるのですが、「フルペイアウト」か否かは、リース物件の購入者であるリース会社に確認しないとわからないケースがあるということです。(契約書等に記載されているケースもあります)
と、いうわけで、そのリース契約が「ファイナンスリース契約」か「オペレーティングリース契約」のどちらかわからない場合は、リース会社に聞くという結論になります。
このコラムは、令和1年8月31日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。