地方法人税の申告の準備はお済ですか?


平成26年10月1日から地方法人税法が施行され同日以後に開始する事業年度については、地方法人税の申告が必要になりました。原則として全ての法人が対象です。

新設法人や決算期変更をした場合には既に申告されている法人もあるかと思いますが、通常の一年決算法人であればこの27年9月末日以降に終了する事業年度から随時申告が必要になってきます。そこで今回は地方法人税について解説したいと思います。

地方法人税の趣旨と概要

①地域間の税源の偏在性を是正し②財政力格差の縮小を図ることを目的として、法人住民税法人税割の税率の引下げにあわせて、地方交付税の財源を確保するためというのが立法の趣旨です。

要するに、市区町村ごとの税収の偏りを少なくするためということになります。

【地方法人税の概要】

納 税 義 務 者 法人税を納める義務がある法人
課 税 標 準 各事業年度の所得に対する法人税の額 (1,000円未満切捨て)
税          率 4.4%
申      告 法人税の申告書の提出期限と同一
納      付 申告及び納付は、国(税務署)に対して行う
適 用 区 分 平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用

法人地方税の税率との関係は

課税標準となる法人税額には①所得税額控除②外国税額控除③仮装経理法人税額控除④税額控除の順序の規定は適用されないものとされています。
地方法人税の施行により一般的な法人地方税の税率との関係は次の通りになります。

   平成26年9月30日以前 平成26年10月1日以後 差  異
道 府 県 民 税 5% 3.2% 1.8%
市 町 村 民 税 12.3% 9.7% 2.6%
合         計 17.3% 12.9% 4.4%

地方法人税の創設により増加した税率4.4%を法人地方税を減少させることで調整しているので、結果として26年10月1日以降も全体としての実効税率自体に変動はなく地方法人税の創設による税負担に変動はありません。

また同じ施行日に法人事業税も地方法人特別税からの一部復元という形で税率が上がることになりますが、こちらも地方法人特別税を引下げることで調整がされているため法人の負担には特に影響はないと言えます。

地方法人税の設立とは別に平成27年4月開始以降の法人実効税率の段階的な引下げが予定されているため、今後も法人の税率の変動からは目が離せないところです。


このコラムは、平成27年7月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。