株式会社の設立③ ~設立後にやるべきこと~

 株式会社を設立するための手続きが終わり登記まで完了すれば、はれて株式会社が設立したことになります。ただし、設立したからといって、もうやることが無いのかと言えばそうではありません。設立後もやらなければならないことがたくさんあります。

金融機関で預金口座を開設する

 株式会社の設立後、発起人の口座に入金されている資本金を会社名義の口座に移す必要があります。そのためには、会社名義の預金口座を開設しなければなりません。
預金口座を開設するにあたっては、一般的に金融機関に下記のものを提出する必要があります。

①定款 ②登記事項証明書 ③印鑑証明書 ④会社の銀行印 ⑤代表者の身分証明書

 登記事項証明書や印鑑証明書は登記が完了しないと取得できないので、必ず設立後に口座を開設することになります
金融機関によっては後述する「法人設立届出書」等が必要になる場合もあるので、事前に必要なものを確認してください。

官公署へ株式会社が設立されたこと等を届け出る

 法人税や事業税等は「申告納税制度」に基づいているため、設立登記とは別に各官公署へ設立したこと等を届け出なければなりません。また、税金は主に国税と地方税に別れるため、それぞれ所管している場所へ提出する必要があります。

○税務署へ提出する書類(国税)

●法人設立届出書
  会社が設立されたことを税務署に提出します。添付書類として「定款の写し」、「登記事項証明書の写し」が必要になります。

●青色申告の承認申請書
  法人税の申告を青色申告で行う場合に提出します。なお、青色申告とは簡単に言うと会社が行った取引を全て帳簿に記帳し、その記帳に基づき「損益計算書」や「貸借対照表」等の決算書を作成し、法人税の申告及び納税をする方法のことです。この青色申告が承認されると優遇措置が多いので、一般的な株式会社の場合、ほとんどが青色申告制度を活用しています。

●給与支払事務所等の開設届出書
代表者を含む役員への報酬や従業員への給与(以下、給与等)が発生する場合に提出します。
会社が給与等を支払う際は、源泉税を天引きして支払うことになっていますが、これは従業員から徴収した源泉税を本人に代わって納税する義務があるからです。通常会社は当月徴収した源泉税について翌月に納税しなければなりません。
なお、この届出を行うことにより税務署は給与等を支払っている会社がどこなのかを把握し、源泉税が支払われているかをチェックすることになります。

●源泉所得税の納期の特例の承認に関する届出書
  給与等の支給人員が常時10人未満の場合に提出することができます。この届出書を提出し承認を受けると源泉税の納付期限が半年に一度になるため、事務処理の手間が省けます。

●その他
  法人税に関して減価償却資産の償却方法や棚卸資産の評価方法を選択したい場合は、その旨の届出書を提出する必要があります。また、消費税に関して免税事業者ではあるが、設立年に設備投資等があるため課税事業者になりたい場合は、課税事業者選択届出書を提出する必要があります。

○都道府県税事務所及び市区町村へ提出する書類(地方税)

●法人設立届出書(事業開始等申告書)
  会社が設立されたことを都道府県税事務所及び市区町村2か所に提出する必要があります。各自治体により書式が異なりますので、事前に確認が必要です。
  添付書類として「定款の写し」、「登記事項証明書の写し」が必要になります。なお、東京23区の場合は都税事務所へ提出すれば区役所への提出は必要ありません。

 上記の他にも、従業員を雇用した場合は、労働保険及び社会保険の加入手続きをする必要があります。労働保険の場合は労働基準監督署及びハローワークへ、社会保険の場合は年金事務所へ、それぞれ加入のための書類を提出する必要があります。

 株式会社を設立する前も大変だったのに、設立後も提出する書類がたくさんあり、投げ出したくなる方も多いと思います。本コラムでは省略しましたが、提出書類には期限がありますので、期限内に提出できるよう準備をする必要があります。
書類作成時に不明点があれば、各担当の窓口にて相談すると意外と親切に教えてくれます。
 もちろん提出書類を作成する時間がない方は、幣事務所にご依頼いただければお手伝いさせていただきますので、一度ご相談ください。


このコラムは、平成25年9月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい

  

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