タックスヘイブン税制について② ~適用除外~

2013年8月のコラムではタックスヘイブンの適用についてでしたが、今回はタックスヘイブン適用除外についてご説明を致します。

適用除外

特定外国子会社等が次のすべてに該当する場合はタックスヘイブン適用の対象外とされます。

事業基準 ・・・...主たる事業が株式保有または工業所有権の提供等ではないこと
実態基準 ...・・・店舗、工場、事務所等の必要な固定施設を有していること
管理支配基準...自ら事業の管理支配を行っていること
非関連者基準...非関連者との取引割合が50%超であること(卸売業者等)
  又は、
  所在地国基準...主として本店所在地国で事業を行っていること(製造業者等)

来料加工の問題

 日本の小売業者等が軽課税国の香港に卸売業の子会社を設立し、その子会社が人件費や設備投資が割安な中国の外注加工業者に製品の加工依頼をする場合があります(来料加工という)。
 そのような場合に、次のような要件に全て当てはまるときは、実態を鑑みて製造業として判断されるケースがあるようです。

加工用の材料等はすべて子会社が支給していること
加工業者の工場に子会社から管理者を送って生産管理をしていること
出来高ではなく工員の工賃と工場の賃借料を支払うことにより製品の引き渡しを受けていること

 製造業と判断されれば、適用除外の判定基準は非関連者基準ではなく、所在地国基準となります。所在地国基準で考えると、本店所在地国の香港で主たる事業の製造業が行われていないため、適用除外とはならず、タックスヘイブンが適用されてしまいます。

 軽課税国に子会社を設置し事業を展開する場合には、慎重な判断が必要となります。

部分課税対象金額と節税

 適用除外になったとしても、子会社に配当等の資産性収益がある場合は、その部分についてはタックスヘイブンの適用があります。

 保有割合が10%以上の配当所得には部分課税の適用がないことや、子会社が海外関係会社の統括会社である場合にはタックスヘイブンの対象とならないことを利用して節税するスキームがあるようです。

 ただ、国外に3つ以上の会社が必要になるため節税の効果については会社の設立費用や維持費コストなども含めて総合的に見なければなりません。

このコラムは、平成25年10月25日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい。


  

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