減資の手続き

前々回は減資が税務に与える影響についてお話しさせていただきましたが、今回は減資の手続きについてお話しさせていただきたいと思います。
資本金は株主から払い込まれたお金であり、会社が最低限維持していかなければならないものであるためその手続きには法的な拘束を受けることになります。
具体的には、①株主総会の決議、②債権者保護手続き、③登記という順番で手続きを進めていくことになります。

1. 株主総会の決議

資本金の額の減少は、株主にとっての影響が大きいため、原則として取締役会で決定することはできず、株主総会の特別決議により資本金の減少額等を決議する必要があります。
ただし、次の場合には株主の利益が損なわれないことから株主総会の特別決議は不要となります。

イ) 欠損補填の場合

ロ) 増減資を同時に行う場合

2. 債権者保護手続き

減資は会社債権者の利害に大きな影響を与える可能性があるため、有償無償に関係なく、会社法では厳格な債権者保護の手続きが要求されています。
なお、資本金の額の減少の効力発生は、株主総会の決議等で決定した効力発生日になりますが、その日までに債権者保護手続きが終了していない場合には、効力が発生せず、保護手続き終了日以降に発生することになります。

イ) 公告
会社債権者に資本金の額の減少について異議を述べる機会を与えるため、1カ月以上の異議申出期間を設定し、減資の内容を官報で公告します。

ロ) 催告
公告のほか知れたる債権者に対して、1ヵ月以上の異議申出期間を定めて、異議申出に係る催告をしなければなりません。
会社債権者からの異議申出がない場合には資本金の額の減少について承認があったものとみなされます。

3. 登記

資本金の額の減少効力発生日から2週間以内に、本店所在地において決議に係る議事録等を添付し減少後の資本金の額の登記をしなければなりません。

資本金の額が大きい会社については、減資をすることにより税務上の優遇措置を適用することができるメリットはありますが、その反面法的な拘束を受ける資本金を減らして自由に処分できる他の資本に振り替えたりその払い戻しをすれば、会社の財務上の信用力は低下する可能性もあります。
現在減資をお考えの方は、税理士と相談しながら減資の及ぼす影響をよく検討したうえで実行することをお勧めします。


このコラムは、平成26年8月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。

  

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